新作読み切り漫画『西行桜桜』を公開しました。平安時代後期の歌人・西行が主人公の能『西行桜』を、著しく改変した作品です。
完全に桜シーズンに遅れてしまいましたが、花見気分でご覧ください。なお読み方は「さいぎょうおうおう」または「さいぎょうウォウウォウ」でお願いします。
原作は西行と老翁が桜を愛でて舞うだけの閑寂な話なのに対し、本作は随分とにぎやかになっています。とはいえ展開はほぼ同じです。以下は『西行桜』のあらすじ。
- 一人で桜を眺めている西行の庵に、酔客が来訪して、静寂を壊される
- 「花見客を集めてしまうのが、桜の罪だ」という意の和歌を詠む
- いつのまにか客がいなくなり、老翁(桜の精)が現れる
- 老翁は「草木は心が無いのだから、桜に罪はない」と異議を唱え、西行は納得する
- 老翁は西行と会えたことを喜び、桜に関する詩句を歌いながら舞い、夜が更けていく
- 西行が目を覚ますと、老翁の姿は消えていた
劇的な起伏は皆無ですが、充実した美と和やかさに満ちています。『西行桜桜』ではこの精神を参照し、嫌味のない和やかさと楽しさを描きました。そのあたりを感じ取っていただければ幸いです。