SNS、やめました。
『メトロブルー』の連載終了後、毎日16時間のゲームを100日続けて行うという大荒行を行いまして、その途中で「SNSはムダ」と悟りました。実際、Twitter や Facebook を見なくなって2ヶ月ほど経ちますが、何の支障もきたしていません。むしろ失われていた思考力や感受性が戻ってきて、非常に健康的になりました。今では「SNS に費やしてきた時間は何だったのか」と思うことしきりです。
もはや周知の事実ですが、SNS は無益で有害です。主な理由は、以下のサイトに書いてあります。
上でほぼ SNS の害については述べられていますが、あえて僕の言葉で説明すると、以下のようになります。
- SNS が与える快楽や幸福感は、依存性があり麻薬的。
- 中毒になると、数十分おきにスマホを手にし、現実から離れ、仮想空間に浸る。
- 共有することが優先的な行為になってしまい、目の前のリアルな体験に集中する能力を失う。
- 例: 食事を味わうよりも、写真を撮ったり感想を投稿することに意識が移る。
- 例: 旅行先で空気を味わうよりも、(以下同文)
- SNS は人や体験の価値を「いいね!」の数に変換する。
- ユーザーは「いいね!」の少ないコメントには価値がなく、多いコメントは価値があると考えるようになる。いったい何が「良い」のか、ニュアンスを考える能力も失われる。
- ちょっとでも面白いと感じたら反射的に「いいね!」をタップするように訓練される。動物的になる。
- 「ウケ」「バズ」「映え」を狙った虚飾に支配される。無意識的に「SNSウケ」する発信方法を考えてしまう。また読み手はそれを吟味せず、動物的に反応する。
- 「そもそも誰かも分からない集団からの承認に何の意味があるのか?」と省みることはない。
- SNS のリアルタイム性と双方向性は、24時間集中力を惹きつけ続ける。
- プッシュ通知は集中力を一瞬で断ち切る。
- スマホの携帯性は SNS 監視をルーチン化する。常に気が休まらない。
- SNS はじっくり考えて書くようにデザインされておらず、浅慮な言葉が吐き出さやすい。
- たいてい文字数制限がある。長い推敲を伴う文章には向かない。
- SNS はじっくり読むようにもデザインされておらず、誤読されやすい。
- 面積の狭いボックスに収まる長さの短文を、流し読みする想定。
- タイムラインにはゴミ情報と広告が折り混じり、集中力を散らす。本当に必要な情報が埋もれやすい。
- シェアは誤謬と対立の元。無数の「私見」や「正論」が、ほとんど考察する気の無い人々によって拡散され、直感的に批判されたり支持される。
- 先述の貧弱な投稿機能と閲覧画面のデザインにより、自ずと誤謬が生じやすい。
- 高い拡散能力のため、誤謬が誤謬を招く。
- 政治批判や犯罪者晒し上げは、見るに堪えないほど浅ましい。批判の理由や根拠が単純化されすぎている、または一切示されない。
- 背景を理解しようとする意欲はまず見られない。
- 慈悲や敬意がない。「同情」「許し」「お互い様」と言った思考は SNS 上ではほぼ死んでいる。
- 対話が生まれることは皆無。対立だけが増える。
- 「正論」を語っている人は、自らのその行為こそが敵対心を煽り、対立を深めていることに気づかない。
- SNS 運営者は、いかに人々の注意力を惹きつけ、利用時間を増やし、広告を売り、規模を拡大するかを考えている。彼らにとって「ユーザーの幸福=サービス利用時間の拡大」であり、「節度」という概念は無い。
- しばしばユーザー自体が広告塔になり、取るに足りないコンテンツの拡散に貢献してしまう。
- 「SNS のおかげで起きたイイ話」は、上記の害に比べれば無視できるほどの数しかない。
- 虚飾と浅慮で溢れかえっている SNS が、娯楽や憩い、あげくには支えになっているようでは、精神があまりに脆弱と言うほかない。
そんなわけで、SNS は現在の人類の知性や民度では扱いきれません。サービス提供者の際限ない拡大志向と相まって、人間性を破壊し続けています。「ストレスを増やし、人々の時間を虚しく浪費している」とも言えます。
テレビ広告に代表されるマーケティング技術は、戦後の人々を無思考・無教養・無理解・不寛容に変えてきましたが、今は SNS が従来と比較にならない力で精神を侵略していると感じています。従来のメディアが一方向的な刷り込みであるのに対し、SNS ではユーザー同士が相互協力して愚かさに向かわしめられるという点で、悪質さの次元が違います。この調子だと、AI が人間の思考力を超えるより先に、人間の思考力が類人猿未満に堕するほうが早そうです。
SNS は無くなるべきですし、確実に無くなるでしょう。2050年の世界ではもはや SNS は存在すら忘れ去られ、「拡散希望」は死語になっていることでしょう。
残念ながら情報共有ツールとして SNS を使わざるを得ない現状なので、新作情報などは引き続き Twitter で流します。メッセージがあればメール代わりに使っていただいて問題ありません。でも僕が他人に「いいね!」したり、日々のどうでもいい報告をすることは、もう無いと思います。ご了承ください。
「そんなことより『毎日16時間のゲームを100日続けて行うという大荒行』って何だよ」 と思われた方もいることでしょうが、それについてはまた後日。アバヨ!